2011年2月17日木曜日

「FX市場で生き残るためのヒント」とは

当サイトは管理人が株やFX、先物など投資の中上級者に対して、相場で7年超
積んだ経験に、行動経済学や経済物理学といった観点を加えて、
従来の価格分析がいかに危うく、誤った考え方に基づいているか
警鐘を鳴らし、相場で生き抜くためのヒントを提供するサイトです。

 このサイトをごらんになることで、値動きの真実の姿を知ることができ、
確率論やテクニカル分析には限界があることが理解することができます。
 将来の値動きを予測することはできませんが、想定外の「リスク」の発生が、
ごく自然なものとしてとらえることができるようになります。
真のリスクを理解することで、虎の子の資産を守ることが可能になります。

 暴騰や暴落がなぜ起きるのかという問いに、これまでの経済学は
満足のいく回答を提示してくれませんでした。行動経済学や経済物理学は
こうした経済学の限界に心理学や物理学などの世界からの思考を持ち込むことで
目覚ましい成果を挙げています。その成果を広くお知らせすることで、
1人でも多くの人が単なる「相場の肥やし」になることを避けられればと思い
サイトを作成しています。

2011年2月13日日曜日

30)お金の力

ご存じの通り、お金はばらばらな時より、

まとまっている方が、ポテンシャルが高まります。

1万人の1000円より、1人の1000万円の方が

さまざまな可能性が広がり、選択の幅も増えます。

まとまった時のお金の力を示す例としては、

募金や投資信託などをイメージするとよいかもしれません。



小遣い稼ぎとして、小口資金を回転させていくのは、

悪いことだとは全く思いませんが、

利益のすべてを消費してしまうのではなく、

その1%でもよいので、資金そのものを大きくし、

お金の力を増していく努力を怠るべきではないと思います。



ただ、注意すべきなのは、

複利運用で市場に投入する額を増やすと、

利益も損失も比例して大きくなってしまうので、

含み損から目を背けてしまうプロスペクト理論の罠に

すとんと陥る危険が増大します。

ですから、

株やFXといった金融商品でアクティブに運用する資金量を

自分がきちんとコントロールできる量に抑え、

元本割れのない安定的な商品にも振り分けていくなどして、

トータルでの資金量を強化していきましょう。



悪銭身につかずと昔から言われますが、

これはお金をコントロールする力が弱いために起きるものです。

宝くじで巨額の当せん金を得た人が

人生を破綻させてしまう例が多いのも同じ理由です。

お金をコントロールする力は一朝一夕には付けられません。

ギャンブル狂と投資家の線引きも、

この力の有無にあると筆者は感じています。



お金はまとまった方が力を発揮しますが、

その力は、正しく制御しないとすぐに暴走してしまいます。

日々、資金を強化していくのが大事なのは、

お金を制御する力を培っていくためでもあります。

29)高金利通貨は微妙

リーマンショック前ほどではないにしろ、

現在でもスワップポイント狙いで

高金利通貨を取引する方も多いと思います。

下がったら買いを勧めるアナリストもたまにみかけます。



リスク管理をきちんとしている場合には、

それも十分成り立つ戦術だと思いますが、

筆者は高金利通貨はちょっと苦手としています。



ひとつには「なぜ高金利なのか」という点にあります。

背景には各国の経済事情があると思いますが、

インフレ懸念があって、金融当局が引き締めで金利を高く設定するケースや

国内での通貨流通量の落ち込みから外国通貨を招き入れるため、

高金利をえさにしているケースなど、極端に金利が高い場合には、

あまり「よろしくない経済」が潜んでいる場合があるからです。



特に小国で金利が高い通貨の場合は、

投機マネーそのものが、その国の経済にとっての命綱だったりもします。

そのような状態で長期間に渡り、自転車操業状態で切り回していると、

悪名高い?格付け会社が突然「格下げ」を発表して、

目も当てられないような大暴落を引き起こすこともありえます。



経済的に安定している国の通貨が安全というわけではありませんが、

高金利ということは、そうまでしないと売れないという事情があることは、

頭に入れておく必要があると思います。

28)なるべく巨大市場で

金融市場に初めて参加する人に対して、

筆者は、なるべく大きな出来高がある銘柄や通貨で、

時間軸も日足レベル以上での取引をお薦めしています。

外国為替でいえば、ユーロドル、ドル円、ユーロ円の

三つの組み合わせだけでも十分な位と考えています。



大口株主や規模の大きいヘッジファンドによる、

パワープレイを嫌っているという理由もありますが、

結局のところ、市場参加者が多ければ多いほど、

人為的な操作がしづらくなり、

物理的な法則との類似性から、

今後の値動きを推測しやすくなるためです。



時間軸を長めに取るのも、

各マーケットのオープン&クローズ時の動きや、

指標発表時の乱高下になるべく動揺させられないようにするためです。



当然、ヒストリカルボラティリティを考慮すれば、

日足レベルでの取引は、極端なハイレバレッジを使うことは難しくなります。

筆者の経験上、小口の個人投資家ですと、

資金量にもよりますが、5000円を超える含み損を抱えると、

損切りを躊躇する心理的な傾向がでてきますので、

一日の値動きが真逆に動いても

5000円の損失で仕切り直しができる程度まで

株数や枚数をコントロールする必要があります。

27)前のめり傾向

行動経済学を勉強していくと、

人間は、早く利益確定したいという衝動から、

前のめりにトレード間隔を短くしていく傾向が、

どうしても顕著になってくることが理解できます。

筆者もスキャルピングにハマッた時期があり、

「小銭取り放題!?」の魔力に憑かれて、

寝食を忘れて取引していた時期があります。



今思えば、磯で海苔(小さな利益)を取っていながら、

潮の満ち引きや高波をまったく警戒せず、

ほどよく海苔(儲け)が取れた後、

高波にさらわれて、

儲けを上回る損失を出してしまうといったことの繰り返しでした。



さんざん資産を市場に放出して気がついたのですが、

漁をするといっても、

ファンドのように船団を組んで遠洋に出かけていくタイプや

沖合での漁をしたり、スワップ狙いにも似た養殖業だったりと、

さまざまなタイプがあるように、

自分がどういう漁を選び、その漁にはどういうリスクがあるのか、

市場に臨む前にきちんとルール化しておくことが大切です。



ひとつ確かなのは、磯から糸を足らすだけの「釣り」感覚では、

生計を立てることは不可能です。釣り自体は楽しいものですが、

稼ぐという観点でみれば「なんちゃって漁」でしかありません。

26)オカルトへの便乗

筆者は基本的にオカルトのたぐいである

占いや予言といったものは信じていません。

太陽の黒点数や、水星の順行と逆行、月の満ち欠け、

星座の位置などにも「直接」関心はありません。



ここで「直接」と断ったのは、

多くの市場参加者が信じているような事象は、

二次的に利用することが可能なため、

予備知識として使えるからです。



たとえば、流通系が乱れるとされる水星逆行は、

レポートで注意を促す著名なアナリストも多く、

比較的多くの市場参加者に警戒感を抱かせます。



ここで重要なのは「警戒感を抱かせる」という点で、

市場参加者の何%かは、水星逆行という言葉で、

ポジションを減らしたり、いったん手仕舞いしたり

といった行動に出ることが推測されます。



こうした行動は、相場の流動性の低下を招き、

相転移現象を引き起こしやすくなります。

そして結果的に、値が動き出せば

「やっぱりね! 水星逆行は当たってるなー!」

となって、相転移に拍車がかかり

思わぬ大きな値動きにつながります。

逆に値が動かなければ、

「みんなが水星逆行で警戒した」

という認識となり、それでおしまいです。

狙い目としては、相転移が起きたと思われるポイントで、

ブレイクした辺りでしょうか。

25)幾何学的な分析

チャートを分析するテクニカルツールのひとつに

「Fractal」と呼ばれるものがあります。

「Fractal」と銘打ってますが、

マンデルブロ氏のフラクタル概念とは直接関係はありません。

ロシアのMetaQuotes社が

無料で提供している解析ツール「MetaTrader」には

標準装備されています。



このテクニカルの「Fractal」は、

ロウソク足5本を使って解析するもので、

5:4本前の足

4:3本前の足

3:2本前の足

2:1本前の足

1:現在の足

と仮定すると、

3>4、3>5と3>2、3>1を同時に満たした場合に、

3に対してシグナルが発生するというものです。

シグナルは高値であれば上向きの、安値であれば下向きとなります。

シグナルが「過去」に対して発生するため、使えないという批判も多いのですが、

このFractalの高値シグナル同士を結んだアッパーラインと

安値シグナル同士を結んだダウナーラインとで作られるチャンネルは

ロウソク足がチャンネル内にとどまる率が非常に高く、

期間(パラメータ)に左右されない幾何学的な分析手法として有効です。

相場の方向性を見る上で、いろいろな示唆に富んでますので、

機会があったらぜひ使ってみてください。

24)完全予測は可能か

フラクタル概念を考え出したマンデルブロ氏は、

フラクタルの理論を使って、

金融市場のチャートを再現することに成功しています。

再現されたチャートは、実際のチャートと区別がつかず、

氏によれば、ベテランの経済アナリストですら

本物と偽物の違いを見抜けなかったそうです。



氏は、自己相似形のフラクタルに

さらに伸び縮みする時間軸も組み込み、

「マルチフラクタル」というモデルを考案しました。

その振る舞いの精巧さから、

実際の金融市場の予測も可能なように思えますが、

氏は「予測には至っていない」と断言しています。

残念ながら、非常によくできた偽物であっても、

本物がこれからどう動いていくかは分からないのです。



ただ、モデルからは、

これから先、どういう動きがあり得るのか、

何に気をつけなくてはいけないのかという可能性を知ることはできます。


金融市場のチャートがフラクタル構造であることは述べましたが、

大小の規模を問わない構造体であれば、

分や時間といった短い時間のチャートの特性から、

今後の日、月、週レベルの動きを推測することは十分可能です。

ただ、注意しなくてはいけないのは、

推測する際は「自分に都合の悪い方向」を重視することです。

23)何もないところから

金融市場が動き出すのは、多くの場合で、

何らかのニュースや経済指標の発表があった時ですが、

特に値動きの決定的な事象がなくても

大きく動くことがあります。



アナリストの多くは、色々と

もっともらしいことを述べますが、

本当に動きを解明しているかどうかは分かりません。



そもそも材料なしで値が大きく動くことが

ありえるのか、ということですが、

自然の中から秩序が生まれてくる「自己組織化」を知ると、

金融市場の不可思議な動きも十分に理解が可能になってきます。



自己組織化は

アメリカの理論生物学者のスチュアート・カウフマンにより

一躍有名になった考え方です。

彼は、突然変異と自然淘汰によるダーウィン的進化論に対し、

小さな構造体がじわじわと集まって、触媒などの力を借りながら

より複雑な構造体を構築するという動きを「自己組織化」と名付け、

進化論には自己組織化の考えを組み込むべきかもしれないと唱えています。



この理論をそのまま金融市場にあてはめるのは乱暴ですが、

方向感のない分子レベルの動きが、だれかが指導するわけでもなく、

一定方向に収斂されていくことがあり得る、と知っておくことは、

マイナスにはならないと思います。


ですから、特に主だった材料もなく、

ずるずると相場が一方向に動いたとしても

「おかしい! 何が起きているんだ!」「説明がつかない!!」

と取り乱すことなく、「自己組織化と似た動きが起きてるんだな」

ぐらいに思って、対処方法を冷静に考えましょう。

22)暴落と暴騰、そして反転

べき乗則によって、金融市場に暴落と暴騰が

そこそこの頻度で発生するとして、

それとは逆の、急激な反転が起きることがよくあります。



チャートは時間軸が大きくても小さくても

自己相似を保つフラクタル構造ですから、

プチ暴落やプチ暴騰は日々発生しており

その反動というのもしばしば目にすることができます。



たとえば、ドル円相場でみますと、

午前10時の仲値に向かって、早朝から

じわじわと値が上がっていく頻度は高いですが、

夕方にロンドンを中心とする欧州勢が参加してくると、

突然、真っ逆さまに急落するというパターンがありますね。



この動きは、もちろん欧州の金融機関が

ドルや円を捌くことで発生しているのですが、

1兆円規模の日銀によるドル買い円売り介入ですら

価格を1円程度動かすレベルですから、

急落のすべてが金融機関によるものではないことは明らかです。



実際のところは、金融機関の動きをきっかけ(触媒)として、

投機マネーが過敏に反応した結果とみることができます。



投機家の多くは、経験上、べき乗則で市場が動くことを認識していますから、

抵抗線を上抜けたり、支持線を下抜けしたりすると、

順張りルールに従い、がんがんポジションを増やして仕掛けていきます。

やがて値が重たくなってくると、チキンレースの様相を呈し、

関心はいつ利益確定するかという1点に研ぎ澄まされていきます。

そして飽和状態から、ごくごく小さな利益確定の動きが連鎖を始め、

そこに逆張りを仕掛ける人間が入ってくると、反転が発生します。

21)損失に脆い人間

人はみな損失に脆いです。

含み損があっても、損切りをして出直すより、

ひたすら耐えて回復するのを待つ方を選択します。

逆に1000円でも含み益があると、

いち早く確定させてしまたい衝動に駆られます。



損失しそうなリスクから目を背け、

利益があればそれを失うリスクを回避しようとする、

こうした行動習性はプロスペクト理論と呼ばれますが、

筆者は、これは人間がいずれ死に至る存在であることと

関係あるのではないかと推測しています。

人間はいつ死ぬか分からないので、

損失はできるだけ先延ばししておけば、

いずれ寿命がきて「損失を見ないで死ぬ」ことができます。

また逆に、利益は早く確定させないと、

「利益を手にしないまま死ぬ」ことになります。


死ぬことを引き合いにだすのは極端かもしれませんが、

プロスペクト理論は、人間の脳にそれに近い形で

ある種のプログラムが組み込まれていることを示しています。




しかもおそらくは、本能に近い部分に、

このプログラムは存在するのでしょうから、

書き換えることは並大抵のことではできないでしょう。


となれば、プロスペクト理論の呪縛から逃れる方法としては、

プログラムが作動するような「情報を入れない」ということが

考えられます。ですから、チャートと何時間も向き合うとか、

損益の推移をじっと見つめるといった行為はあまり推奨できません。

チャートツールの中には、指定した価格に達すると

アラートが鳴ったり、メールで知らせてくれるものがあります。

それらを有効に活用して、過度に脳を刺激しないよう、

相場と距離を保つことが大切です。

20)逆張りの危険性

流れに乗った順張りも

流れに逆らった逆張りも、

結局は「この流れが続くだろう」

「この辺で反転するだろう」という

自分にとって、都合のよい思惑に依存している点では

どちらも変わりがありません。



ただ、べき乗則で動くことが確認されている

金融市場において、逆張りは一歩間違えると

命取りになりかねない危険性が潜んでいる

ということは頭に入れておかなくてはいけません。

臨界ぎりぎりで辛うじて均衡状態を保っている状態にあれば、

ほんの小さな石ころ一つ転がっただけでも、

大規模な土砂崩れを引き起こしかねないからです。



逆張りを取る場合には、ごく短いスパンで、

マンデルブロ氏のいう「マイルド」、

すなわち「レンジ」であれば、支持線、抵抗線のレベルから、

逆張りを仕掛けても成功する確率は高いといえます。

もちろん出口戦略を決めた上での資金投入は必須であり、

あまり欲深く利を追うことはおすすめしません。



そして、レンジ内での逆張りであっても、

相転移現象にはやはり気をつけなくてはいけません。

ボラティリティが徐々に縮小し、ティックも少なくなり、

かつ振れ幅が大きくなってきたのが観測された場合には、

いったん相場から逃げる準備に取りかかるのが

長生きのコツではないでしょうか。

18)ティックチャート

経済物理学の第一人者として知られる

高安秀樹氏は著書「経済物理学の発見」の中で

ドル円相場のティックチャートを解析に挑んでいます。



金融工学の基礎となっているランダムウォーク理論では、

過去の値動きとこれから起きる値動きは独立していますので、

ティックごとの上下変動で期待される確率は2回に1回、

つまり0.5(1/2)です。



高安氏は一つ前のティックに対して新しいティックが

高くなれば「+」、安くなれば「-」として、

ティックチャートを+、-で分類して解析しました。



理論上、多少のゆらぎはあれ、常にどの場面からでも

確率は0.5であり、ティックのサンプル数を多くすれば、

「+」、「-」は同じ数だけ現れるはずですが、

実際はそうなりませんでした。



氏の解析によれば、

「+」あるいは「-」が7回続くまでは、

反対方向へ引き戻される確率が高くなるのですが、

7回連続で続くと、今度は8回目以降も

同じ符号が続く確率が0.5よりも大きくなるのです。



ティックを時間にプロットしてみると、

7ティック、つまり、取引が7回成立するのに、

1分間程度かかるそうです。

ということは、1分間、同一方向に値が触れ続ければ、

「トレンド」が発生したとみなすことができる、

というのが高安氏の見立てです。

17)フィボナッチ数列

フラクタルと黄金比に親和性があると前述しましたが、

その際に用いられるフィボナッチ数列について

少し触れておきます。


フィボナッチは12世紀にイタリアで活躍した天才数学者の名前です。

彼は商人であった父親とともにアラビア諸国をめぐり、

「算盤の書」という書物を通じて、

アラビア数学を始め、利子や除算、簿記などの考え方を

ヨーロッパに持ち込みました。



さて、その彼にちなんだフィボナッチ数列ですが、

簡単にいえば、0から順番に出てくる数字を二つ足していく数列です。

0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144…

ご覧いただいて分かるように

どの数字もその前の数字2つを足した数」になってますね。

この数列がおもしろいのは、ある項でその次の項を割ると、

黄金比1.618の近似値が得られることです。

13÷8=1.625

144÷89≒1.6179

この数列は自然界のいろいろな場面で見られ、

花びらや果実の房、種子の数などに

驚くほど正確なフィボナッチ数を見ることができます。


よくアナリストのレポートなどで

「38.2%」や「61.8%」といった数字を見かけることがありますが、

この数字は、黄金比とフィボナッチ数列に基づくものです。

16)フラクタルと黄金比

分子レベルのミクロな構造から、

宇宙空間の超マクロな構造まで、

フラクタルで説明ができる構造体は

実にたくさんあります。



こういうとすぐ「神秘だ~」「不思議ね~」と

オカルトな目で見てしまいがちですが、

実際のところは、人間の目がようやく、

自然に追いついてきただけのことだと思います。



自然は読んで字のごとく「自ら然り」ですから、

その振る舞いには「無理」がありません。

逆に言えば、

無理のなく、違和感もない相似形の構造体こそが

フラクタルともいえます。



さてさて、自然が織りなす、無理のない構造には、

共通の法則性が見られる場合が結構あります。

それは黄金比です。

近似値が1:1.618で表される黄金比ですが、

線分で言えば

a:b=b:(a+b)

が成り立つ関係です。この比率は、

線分をどんどん切り刻んでいっても変わりません。

黄金比はフラクタルの定義である

「自己相似形」を満たしているのです。

ただし、フラクタル構造のすべてが

黄金比に従っているわけではないので、

黄金比の法則は

フラクタル構造の中の一形態に過ぎないと思いますが、

親和性が極めて高いということはいえると思います。



金融市場のチャート分析に

フィボナッチ数列を用いる手法がありますが、

フラクタル構造を持つチャートへのアプローチ方法としては、

あながちオカルトとは言い切れない面がありそうです。

15)フラクタルの奥深さ

マンデルブロ氏が考案した

フラクタルの概念は、非常にユニークです。

部分が全体と同じ形となる自己相似形は、

自然界の至るところで見られます。

簡単なイメージでは

ロシアのお土産「マトリョーシカ」がいい例ですね。



そのほかにも、有名なところでは海岸線、山の稜線、

川の流れ方、雲、動物の肺、葉っぱ、都市構造などなど、

物理学だけでなく、気象、天文、地理、地学、

統計、水理、医療、植物、動物、社会といった

多くの現象で観察することができます。研究者の中には

原子構造と太陽系の構造の類似性までをも取り上げ

「宇宙はすべてフラクタルだ」という方もいるほどです。



もちろん、金融市場のチャートにも

「フラクタル」はあてはまります。

試しにどの金融商品でもかまわないので、

週足、日足、1時間足のラインチャートあたりを

同じA4の紙にプリントアウトさせて観察してみてください。

どうでしょうか、どれがどれだか、まるで分かりませんよね。

このように大きくしても小さくしても

その「形が不変」であるものが「フラクタル」です。



時間軸に関係なく、

チャートの構造が不変であるということは、

時間足での値動きの分析は、ボラティリティが異なるだけで、

日足でも、週足でも有効だということになります。

通常、テクニカル分析にハマると、

「13日線より21日線だ」

「200日線が重要だ」

と期間(パラメータ)にとらわれてしまいがちですが、

フラクタルによる幾何学的なとらえ方をすると、

違った側面が見えてくることもあります。

14)相転移現象と臨界 その3

チャンスであると同時に、

リスクも飛躍的に高めてしまう相転移現象ですが、

臨界を引き起こしやすい環境に注意を払うことで、

ある程度リスクを低減させることができます。

嵐が来るかもしれないと分かれば、

いち早く避難することが、肝心ですよね。



さて、単純に物質の規模が小さければ、熱や圧力といった

外からの力を受けやすくなります。

鉄が磁性を失うキュリー点は約770℃とお話しましたが、

鉄の質量が100キロと1キロでは、

770℃まで上昇させるために必要な熱量は

段違いに違ってくるのはご理解いただけると思います。



つまり「市場の流動性が落ち、値動きが小さい」ときは

当然ながら、市場規模は収縮しています。

このような時は相転移を発生しやすく、値が飛びやすくなります。



特に、マザーマーケットと呼ばれる通貨発行国市場が

祝日などによる休場の際は、金融機関などの実需筋が

非常に鈍くなりますので、相手国側の思惑にそった、

一方的な動きになる可能性が高まります。

ドル円相場でれば、米国市場と東京市場が

平常通りの取引を行っているかどうかぐらいは

カレンダーでチェックでしましょう。

13)相転移現象と臨界 その2

「禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン」

を著したマンデルブロ氏は、金融市場について、

金融工学の基礎であるランダム性が支配する「マイルド」状態と

べき乗則で荒っぽい動きをする「ワイルド」状態、

そしてその中間にある「スロー」状態

のいずれかに分類できると主張しています。

そして「マイルド」、「スロー」、「ワイルド」は

それぞれ「固体」、「液体」、「気体」に特性が似ており、

別の状態に移る時は

物理学上の「相転移」に近い動きをすると分析しています。



実際の市場の値動きで当てはめていきましょう。

「マイルド」状態は、値動きがゆっくりとして、

ボラティリティも小さく、チャートは緩慢なジグザグを描きます。

市場参加者も少ないか、様子見が多く、

いわゆる「レンジ」相場が続いている状態です。



「スロー」状態は、ボラティリティが大きくなり始め、

ティックごとの動きも上下にぴょこぴょこ振れ始めます。

大きな市場がオープンしたり、

経済指標の発表が近づいたりとざわついた状況になってきます。

レンジをブレイクしようと、支持線、抵抗線に挑む動きが出始め、

ダマシも増えてきます。



「ワイルド」状態に至ると、ボラティリティは極限まで拡大し、

確率や統計がまるで通用しない世界に突入します。

「トレンド」が発生しているかのようにも見えますが、

瞬時に切り返すなど乱高下を繰り返し、

支持線や抵抗線も無視されてしまいます。

12)相転移現象と臨界 その1

相転移というとやや聞き慣れない言葉ですが、

温度・圧力・外磁力などの一定の外的条件下、

物質の状態がある相から別の相へ移る現象を指します。



小難しい物理用語なので、もっと簡単に言い換えます。

わたしたちが普段接してる「水」は、

温度によって、氷、水、水蒸気と姿を変えますね。

これらはそれぞれ氷=固体、水=液体、水蒸気=気体、

となるわけですが、この違いを「相(Phase)」と呼びます。

相転移とは、氷から水、水から水蒸気と、

この相が変わることを指します。



また、磁石では、温度を上げていくと、

突然、磁性を失う「キュリー点」というのがあります。

鉄だと、だいたい770℃がそれに当たるのですが、

それまでは物質の分子が一定方向に揃っていて、

磁性を保っているのですが、キュリー点に達した瞬間、

分子がてんでんばらばらな方向を向いてしまい、

磁性を失ってしまいます。



この相転移が起きる点のことを「臨界点」といい、

この臨界点を超えると、いわゆる「臨界」となります。

相転移が起きる臨界点付近では、

物質の状態は、沸騰する水と水蒸気の境目のように、

ぐらぐらと極めて不安定になります。



さて、この相転移現象、何かに似ていませんか?

そう、市場の値動きも実はこれと近い動きをすることが

観測されています。

11)別角度からのアプローチ

仮定に次ぐ仮定や度重なる修正、異常値の排除など

わたしたちが慣れ親しんできた従来の学説は、

前提条件が「本当かな?」と思える部分が多く、

確率論や統計論を重視するあまりに、

直線でないものを強引に直線に見立てて

無理に説明をつけようとする傾向がみてとれます。

もちろん学者たちも実務上では

理論が有効ではない場面があることは認識しています。



こうした限界に対して、物理学や量子力学といった

自然科学からの市場へのアプローチが

近年試みられるようになってきました。

マンデルブロ氏のフラクタル理論や経済物理学は

その一例です。



とはいえ、古典的な経済学者たちは、

物理という門外漢の殴り込みを

非常に疎ましく思っている傾向もありますが、

こと一投資家レベルにおいて

リスク管理という点でみれば、

暴騰や暴落を「起こりえないこと」としか言えない

従来の学説よりは、

「暴騰、暴落は市場の自然な振る舞い」

としているアプローチの方が、

より安全な資産運用をしていく上では現実的な気がします。

異常値を異常と切り捨てず、当然な帰結として受け入れて、

無理をせず、度量深く、全体を俯瞰してとらえていくのが、

この新しいアプローチのユニークさでもあり、

醍醐味でもあります。



ただ、残念ながら、新しいアプローチであっても

市場の値動きを完全に読み切るほど精度が高くないのは事実です。

ですから、これらの理論を学んだところで

大儲けできるわけではありません。

あくまで、リスクを過小評価せず、

値動きの意味合いを知る助けとなる程度であることを

頭に入れておく必要があります。

9)明らかな性質の違い

正規分布に基づく市場分析は、

これまで経済学や金融工学の基本とされており、

多くの経済学者や数学者たちによって

多数の方程式が作られてきました。

現在もディリバティブやオプション、

企業の投資価値を測る際に用いられています。



有名なものでは、

アメリカの経済学者マーコウィッツが考案した

ポートフォリオ理論や

同じアメリカの経済学者である、

ショールズとブラックの2人が作り上げた、

ブラック-ショールズ方程式

などが挙げられます。



彼らは、いずれも

ノーベル経済学賞を受賞している

優れた経済学者であります。

複雑な数式を駆使して、高等モデルを組み上げ、

誰もがなしえなかった理論を構築させました。

金融工学は万能ツールであるかごとくもてはやされ、

彼らの理論は経済、金融の基礎として、

現在でも教科書に載っているほどです。



金融工学の隆盛はすさまじく、1970年代後半から、

アメリカ経済を中心とする欧米の投資理論として

君臨してきましたが、

金融の実務レベルでは、

それが例外もなく完璧な方程式であるとは信じられてはいません。



市場参加者は経験的に理解しています。、

彼らの方程式が神懸かり的に通用する局面と、

彼らをあざ笑うかのように

確率的にあり得ない方向へ乱高下する局面があることを。



マンデルブロ氏はその違いを

「マイルド」と「ワイルド」と名付けましたが、

市場は、のんびりとした予測可能な動きと、

荒々しく予測不可能な動きという、

明らかに異なった性質を持ち合わせているのです。

8)べき乗則の有効性

べき乗則で値動きをとらえて見るのに慣れると

「ごく稀だが、極めて大きな値動き」

が発生するのは、あまり不思議ではなくなってきます。



英語の格言に

「When it rains,it pours」

というのがあります。訳せば

「降れば、どしゃぶり」となりますが、

まさに、この格言のように、

値動きも一方向に動き出すと、

どこまで行くか誰にも見当もつかないのです。



ですので、株価が何日も連騰しているような

バブル的な上昇局面で、

正規分布に基づく確率で値動きを予測して、

「ここから、さらに上昇が続くのは95%ない」

と分析したとしても、

残り5%だからと切り捨ててしまう「さらなる上昇」が、

実はまだまだ続く可能性があるのです。



しかも、べき乗則で言えば、

この残り5%の値動きは、

投資家を市場から強制退場させるような

狂乱的な上昇につながる可能性があります。



みなさんは、普段、

地震が頻発している日が続いているとして、



 「ここんところ十分に揺れたから、

 もうそんなに揺れないだろう」




と考えるでしょうか? むしろ



 「揺れが続いてるから

 大きいのがくるかもしれない」




と警戒するのではないでしょうか?


 
 正規分布に基づく市場へのアプローチは、

このような状況で、揺れ始めた地震に対して



「大丈夫大丈夫、すぐ止まる」




と判断してしまうようなものです。

 ですが、その地震は、

マグニチュード8の始まりかもしれないのです。

10)上下の確率は1/2?!

金融工学が考える値動きは、

常に過去の価格から独立して、

実に気まぐれで適当に動いている

「ランダムウォーク」

であると規定されています。



価格が上がるか下がるかの確率は

一定割合でのゆらぎこそあれ、

原則的には常に1/2であり、

一方的な動きがいくら続こうとも、

大乗の法則や中心極限定理により、

いずれ1/2に収斂されくるというものです。



また、市場に参加する「人間」は

やはり合理的かつ効率的で

たとえ1人が間違った動きを取っても

多くの人間は合理的に動いているので、

市場としての効率性は損なわれない、

と仮定されています。



これに対して「経済物理学」を掲げて、

市場への物理学的なアプローチを試みている、

ソニーコンピューターサイエンス研究所

シニアリサーチャー高安秀樹氏は、

その著書「経済物理学の発見」(光文社新書)の中で

「市場にはカオスのしくみが内在しており、

 すべてをランダムウォークで説明することはできない

と指摘しています。



ここで高安氏が使う「カオス」というのは、

初期段階のごく小さな差異が、やがて拡大されて、

最終的にまったく違った結果を生み出す、

というものです。
 
高安氏はさらにドル円のティックチャートを分析し、

上がる下がるの確率がある条件下では1/2ではない、

という法則性も導き出し、

正規分布で説明がつかない

市場の荒っぽい値動きが高頻度で起きることへ

警鐘を鳴らしています。

19)ティックチャート その2

高安秀樹氏のティックチャート解析によれば

7ティック、およそ1分間、同一方向に値が動けば

トレンド発生の確率が高いとみなされます。



ただ、氏はドル円相場の分析で仮説を立てていますが、

為替は個対個の相対取引が主体であり、

業者が提供するティックチャートもあくまで、

その業者内での取引結果に過ぎないので、

業者間でのデータのばらつきが大きく、

そのまま実戦に適用することはできません。



ただ、前述の相転移現象における

臨界点付近での不安定さから言えば、

ティック解析によるトレンド発生警報は、

スキャルピングでの取引が主体であれば、

予兆として使うことは可能だと思います。



実践的な使い方としては、

1分足が見られるチャートツールで、ロウソク足を表示させて、

ティックを数えつつ、

陽線であれば上髭がなく、

陰線であれば下髭がない、

そのような形が現れた場合、

分足レベルでのトレンド発生警報とみなします。




トレンドの寿命がどの程度かは、

発生初期には見当がつかないので、

流れに逆らわない取引が推奨されますが、

1分足の値動きを予報代わりにして、

5分足や15分足で取引する場合には、

押し目買いや戻り売りの機会を探すきっかけに使うこともできると思います。

7)非正規分布の発想

フランスの数学者で経済学者でもある

ベノワ・マンデルブロ氏(1924-2010)は、

その著書

「禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン」

の中で、暴騰・暴落のメカニズムを

実に念入りに検証しています。



IBMのフェローだった彼は、綿花の価格推移から

市場における価格は「正規分布」には、

収まらないことを発見しました。

この発見を基に彼は、

図形の部分と全体が相似形になっているという

有名な幾何学の概念「フラクタル」の概念を導き出すのですが、

彼の理論によれば、市場の価格は

べき乗則で説明できる場合が多いといいます。



べき乗則は、aとbのある関係を対数グラフに

書いていくと傾きがマイナスな直線になる関係です。

分かりやすくいうと、普通のグラフでは、

原点0から、Xは1、2、3、4、5…と増え、

Yも1、2、3、4、5…と増えていきますね。

対数グラフでは、この増え方が、

原点0からX、Yともに1、10、100、1000…と増えていきます。

(形としては傾きが-1のグラフを思い浮かべてもらえば
よいと思います)



たとえば、地震のマグニチュードが良い例ですが、

マグニチュードは1増えるとエネルギーは約32倍、

発生頻度は1/10になります。

つまり、微弱な地震はしょっちゅう発生するが、

大きな地震の発生頻度はごく小さくなります。

ですが、大きな地震がどのぐらい大きなものなのかは予測できません。

マンデルブロ氏は、さまざまな金融商品の分析を通じ

市場の値動きは「正規分布に収まらない」と断言しています。

6)確率論の誤謬 その2

正規分布に基づく確率・統計の観点では、

「正確な」計算結果を導くために、

異常値を排除することがよくあります。

その計算方法もいくつかあるのですが、

みなさんもテストやスポーツ記録などで

「平均値」を求める際、最高値と最低値を、

除外して計算したことがあると思いますが、

それも異常値排除の一例です。



市場予測で言えば、

暴騰や暴落は異常な状態にあるとみなして、

急変時の荒っぽい値動きは、

考慮しないということになるのですが、

どうも妙な話です。

投資家にとっての関心事は

いくらになったら利益を確定するか

あるいは、

いくらになったら損失を確定するか

という点にあるのですから、

異常だからという理由で、

高値安値を排除するのは、

川に堤防を作る時、

年間平均降雨量だけを見て設計をするようなものです。

それでは洪水から街は救えませんよね。



「平均」は重要ではありますが、それだけは不十分なのです。

市場はテストやスポーツ記録とは違います。

違う性質のものなのに、

うまく正規分布に収めるようにと、

修正を施しているという感じはどうしても否めません。

社会心理学ではこうした行為を

「確証バイアス」と呼びますが、

固定観念や先入観にとらわれたままでは、

真の姿にはいつまでも出会えません。

5)確率論の誤謬

1777年にドイツで生まれた数学者ガウスの名前は、

みなさんもどこかで聞いたことがあると思います。

彼は数学者であると同時に、天文学者、物理学者であり、

近代数学へ多大な貢献をした「数の巨人」です。



彼が導き出した理論や公式はたくさんあるのですが、

その中でも、確率、統計に使う「正規分布」は、

別名を「ガウス分布」とも呼ばれる優れものです。

正規分布は、ちょうど釣鐘のような曲線を描き、

どんな確率分布でも最終的には中心部が一番多くて、

端に向かうにつれて段々少なくなっていく形になる、

というものです。



簡単に言えば、2個のサイコロを同時に振って、

出る目の和を記録していく作業を何回も繰り返すと、

最初のうちは、ばらつきがあっても、最終的には、

7が一番多く、2や12が少ない山型の曲線が描けますよね。

これが正規分布の発想で、統計学の基本です。

受験生を苦しめるテストの偏差値も、

これの応用なのは、ご存じの通りです。



この正規分布による考え方は、

各種市場予測にも使われ、

値動きがより確率の高い方へ導かれると想定して、

今後の推移を予測していく訳ですが、

みなさんも感じている通り、

正規分布に基づく95%の確率であっても、

それを裏切る値動きがひたすら続く場面があります。

それが日をまたぐような長期に渡る一方的な値動きだと、

「バブル」や「暴落」「円高」「円安」として市場は大騒ぎになるわけです。

4)揺らぐ土台の上で

経済学や金融工学に登場する「人間」は

非常に合理的で効率的です。

すべてを期待値で思考し、計算ずくでより確率が高く、

正確な行動しかしません。



たとえば


A:「今1万円もらえる」

B:「1年後に3万円もらえる」



という選択だと、間違いなくBを選択するのです。

本当でしょうか?

みなさんには下記のような経験はありませんか。



 「ごく近所のガソリンスタンドが1㍑120円なので、

  郊外のセルフガソリンスタンドに行って、117円で

  満タンの半分25㍑給油した。いやー儲けた」





筆者自身も含め十分にありえる話です。



安いガソリンスタンドには行列ができてる時もありますね。

さて、ここで経済学に登場する「人間」はこう考えます。



 「価格差は3円だから、25㍑給油では浮くのは75円。

  しかし、郊外まで出かけていくのに燃料消費するので

  仮に往復5㌔走ったとし、燃費が1㍑10㌔とすると、

  0.5㍑分58.5円は差し引く必要がある。

  その時、浮くお金は16.5円。

  安い店は行列ができるリスクが高く、

  順番待ちのアイドリングの燃料消費も考慮すれば、

  差し引きはほとんど皆無に近くなる。

  この場合、むしろ行列リスクと時間ロスを考え近所の方が効率的」





おそらく、ここまで瞬時に考えて給油する人は、

なかなかいないのではないでしょうか。

ですが、理論上の「人間」は生命活動に関わる万事がこの調子です。

現実にそぐわない「人間」の仮定、経済学の理論は

土台から「現実」に則していないのです。

3)悪いのは人間?

リーマンショック後、メディアや各国政府要人、

金融、経済の学者たちは

「欲にまみれた人間が招いた結果」

と解説しましたが、そんなことは100年前どころか、

人類が誕生以来、ずっと言われてきたことです。

「何をいまさら」という感じですよね。



しかも「100年に1度」と言われますが、

投資家の資産をごっそりと目減りさせる「事件」は、

世界恐慌以降、10年に1回以上は起きてます。

ざっくり列挙してみますと、

1929年 世界恐慌

1939年 第二次世界大戦

1950年 朝鮮戦争

1970年 オイルショック

1971年 ニクソンショック

1987年 ブラックマンデー

1990年 日本バブル崩壊

1997年 アジア通貨危機

1998年 ロシア危機

1998年 大手ヘッジファンドのLTCM破綻

2001年 米エネルギー大手のエンロン破綻

2008年 リーマンショック

本当に主だったものを思いつくままに並べただけですが、

これらの出来事で大打撃をくらった投資家は多いと思います。



こうした暴騰・暴落が起きるたびに学者さんたちは

「強欲な人間が悪い」と糾弾してきた訳ですが、

実際のところ、人類はまだ、

このメカニズムを十分には説明できないのです。

経済学や金融工学の基礎となっているのは、

あくまでも合理性に基づく静的な市場で、

動的な金融市場のすべての動きを

オンタイムで説明するのには限界があるのです。

2)100年に1度の危機

2008年秋に世界を襲ったリーマンショック。

アメリカ発のサブプライム問題に端を発して、

信用不安の連鎖は瞬く間に地球を覆いました。

市場は大暴落し、その痛手からの復興は、

2011年に入った現在でも実現していないのは、

みなさんもよくご存じかと思います。



さて、破綻したリーマンブラザーズの負債は、

総額で64兆円。一体どのぐらいの規模なのか、

額が大きすぎてピンときませんよね。

直接の比較にはならないのですが、

イギリスの1年間の国家予算と同じぐらいです。

(ちなみに日本は膨張傾向にあって90兆円台です)

つまり、リーマンの負債額は、

経済先進国の1年分の国家予算が焦げ付く規模、

ということですから、いかにすさまじい衝撃だったか、

というのが、なんとなく分かるかと思います。



このリーマンショックに対しては、

「100年に1度の経済危機」

と言われますが、これを最初に言い出したのは、

FRB(米連邦準備制度理事会)の前議長である

グリーンスパンさんです。おそらく、彼は、

1929年に起きた「世界恐慌」を念頭に置いて、

100年に1度と発言したのでしょう。

グリーンスパンさんという米経済の重要人物の言葉であり、

また、事態の深刻さを表現するのに適当なためか、

メディアは、こぞってこのフレーズを使いますが、

これは、経済学に対しては

「100年経っても、結局危機を回避ないし予見できなかった」

という皮肉でもあります。

経済学といえば、理論や数式がいっぱい出てきて、

さも難しそうな学問のイメージですが、

世の中の実際を説明することができていません。

どうしてなのでしょうか?

1)生き残るためのツールとして

似非科学という言葉があります。

一見、科学的な風を装っていながら、

その実は、根拠が薄弱で、理論的な裏付けが少ない。

哲学者のカール・ポパーによるところの

反証可能性に乏しい方法や信条を指します。

オカルトやブードゥーサイエンスなどとも呼ばれますね。



筆者が今回まとめるレポートは、

複雑系やカオス理論、フラクタル概念に加え、

経済物理学や行動経済学などの分野から生まれた理論などを

広く紹介するものです。

これらの中には、科学者たちから、

まさに似非科学とのそしりを受ける内容も多く含まれます。



筆者は残念ながら、これらの指摘に反論するだけの研鑽を

まだ積んでおらず、十分な反駁することもできないので、

ひとまず、そしりは甘受いたします。

ただ、科学的理論として隙が大きいことは認めるとしても、

それが、金融市場で生き残っていくためのツールとして、

市場においてある程度の有効性が認められたり、

サバイバル術のヒントとなったりするのであれば、

虎の子の資産を運用している個人投資家のみなさんにとって、

お知らせしたおくだけの価値はあると思っています。



科学的な立証が人類の進歩にとても大切なのは理解できますが、

科学的な立証ができない、あるいはされていないこと、

そのすべてが悪だとは筆者は思いません。

投資家にとっては資産を減らさないことが最優先事項です。

それに役立つものであれば、とりあえず

知っておくだけの価値はあると思います。